種もワタもまるごと
おいしい!
「苦手な野菜」の代表……なんて、もう昔の話かも——。
えみ先生と一緒に、タイ料理風「種ごとピーマンのガパオライス」の作り方を見ていきましょう。
「ゆめつむキッチン」は、管理栄養士のこじまえみ先生と一緒につくる連載です。テーマは、料理を通じた「探究」——食育や環境問題、季節の食材、世界の食文化まで、キッチンは実は学びの入り口でもあるのです。「はじめて包丁を握る」そんなお子さんも、ぜひ大人と一緒に読んでみてください。親子でキッチンに立つ時間が、きっと特別な思い出になりますよ。
小学校3、4年生のころからお料理やお菓子作りが大好きで、「もっとおいしい料理と栄養を学びたい!」という気も持ちから管理栄養士をめざしました。 保育園で給食を作ったり、食育の活動をしてきたえみ先生が2025年4月に出した初めての本が、『捨てないレシピ』です。
食べられるの?
シャキシャキの実だけ使って、種とワタはゴミ箱へ——そんなご家庭が多いのではないでしょうか。
でも実は、ピーマンはヘタ以外まるごと食べられる野菜なんです。
どうしていますか?
種とワタも食べると、捨てる部分は……
たった1個のピーマン。でも、日本中のキッチンで毎日捨てられている種とワタを集めたら、どのくらいの量になるでしょう? 捨てる部分が減れば、ゴミも減って、地球への負担も小さくなる。「もったいない」は、環境を守る第一歩です。
しかも、いつも捨てているワタには、「ある成分」が皮よりもたくさん入っているんです。くわしくは下のクイズでたしかめてみよう!
「ビタミンCといえば、みかん」「ピーマンは苦い」——その思い込み、本当?
親子で予想しながら、5問に挑戦してみてください。
ヒント:「ビタミンCといえば、みかん」のイメージがひっくり返るかも。
同じ重さで比べると、ピーマンのビタミンCはみかんの約2.4倍。「風邪のときはみかん」と思っていた人、びっくりですよね。もちろんみかんにも、β-クリプトキサンチンなど、みかんならではの栄養があります。どちらも優秀な食材なんです。
ちなみにこの比べっこは、文部科学省の「食品成分データベース」で誰でもできます。好きな野菜や果物で、親子で対決してみるのも面白いですよ。
ヒント:ピーマンを触ってみると、皮がしっかりしていますよね。
ビタミンCは熱に弱く、水にも溶けやすい栄養素。でもピーマンは皮が肉厚で、水分が外に逃げにくいので、加熱してもビタミンCが失われにくいんです。
前回のブロッコリーは「レンジで短時間」という作戦でした。野菜によって、栄養を守る作戦が変わる——ここが料理の面白いところです。
ヒント:冬でもあたたかい「ある場所」で育てられています。
寒い季節は、ビニールハウスの中で大切に育てられています。だから一年中食べられるんですね。
とはいえ、本来の旬は夏。つまり今が、いちばんおいしくて、お店でも安く手に入る季節です。スーパーで値段をチェックしてみると、季節の変化が見えてきますよ。
Q4. ピーマンのワタには、皮よりもたくさん含まれている「ある成分」があります。何でしょう?
ヒント:ちょっとむずかしい問題です。ピーマンの香りに関係があります。
ピラジンは、ピーマンの香りに関わる成分です。ワタには皮よりもたくさん含まれているとされ、血の流れをよくするといわれています。
いつも捨てている部分にも、ちゃんと役割があるんですね。
食品メーカーのカゴメの調査によると、2025年の1位はピーマンでした。ちなみに、2024年はナスが1位でした。(みんなは食べられるかな?)
味が苦手だと感じる人が多いピーマン。ですが、実はピーマンはどんどんおいしくなっているって知っていましたか? 最近は、苦みの少ないタイプも増えています。肉みそなどをのせて生でパリパリ食べる方法も人気です。
苦手な野菜があるのは、ぜんぜん悪いことではありません。でも、農家さんや研究者、料理をする人たちの工夫で、「あれ、前よりおいしいかも」と感じる出会いも増えています。今のピーマンと、あらためて出会ってみませんか?
参考:カゴメ「子どもと野菜に関する定点調査」2025年(PDF)、同2024年(PDF)
何のこと?
「ガパオ」は味つけの名前? それともお肉のこと?
実はこの一皿、タイと日本をつなぐ、面白い物語を持っています。
🇹🇭 本場タイの味
(ガパオ)
- 葉は細めで、フチがギザギザ。スパイシーで清涼感のある香り
- タイやインドでは昔から大切にされてきたハーブで、「不老不死のハーブ」と呼ばれることも
- 日本のお店では、なかなか手に入らない
🇯🇵 日本でおなじみ
- 葉は丸くてつやつや。甘くやわらかな香り
- ピザやパスタでも大活躍。スーパーで買えて、おうちのプランターでも育てられる
- 苗や種はホームセンターでも売っています
「スイートバジルで作ったら、それはガパオライスじゃない!」——本場の味を大切にする人たちから、そんな声があがることもあります。たしかに、それも一理あります。一方で、インド生まれのカレーが日本のカレーライスに育ったように、料理は海をわたるうちに、その土地で手に入る材料に合わせて姿を変えていくものでもあります。
🍳 いっしょに作ろう
ガパオライスを作ろう!
ピーマン4個を、種もワタもまるごと。フライパンひとつで完成する、タイ料理風の一皿です。包丁と火を使うので、必ず大人と一緒に作ってくださいね。
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ピーマン 4個(種・ワタごと)実は1cm角に、種とワタは粗く刻みます。捨てるのはヘタだけ。
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鶏ひき肉 200gむね・もも、どちらでもOK。豚ひき肉でもおいしく作れます。
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にんにく 1かけ(みじん切り)香りのベースになる、かくれた立役者。チューブでも代用できます。
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オリーブオイル 大さじ1/2にんにくの香りを移しながら炒めます。
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ナンプラー 小さじ2魚から作られるタイのお醤油。旨味たっぷりの「出汁醤油」のような存在です。
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オイスターソース 大さじ1/2かきの旨味でコクをプラス。
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鶏ガラスープの素 小さじ1/2 ・ 砂糖 小さじ1味のまとめ役。砂糖の甘みが、タイ料理らしさの秘密です。
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豆板醤 お好みで辛いのが苦手なら、なしでOK。大人は後のせでも。
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バジル 適量生のスイートバジルでも、乾燥バジルでもOK。
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ごはん 2人分 ・ 目玉焼き お好みで目玉焼きをのせると、ぐっと本場っぽくなります。
鶏ガラスープの素とオイスターソースを、それぞれ1.5倍にして置きかえればOK。買い足さなくても、おうちの調味料で作れます。
ピーマンはヘタを取り、実は1cm角に、種とワタは粗く刻みます。にんにくはみじん切りに。細かく刻む作業は、包丁の上達にぴったりの練習です。ゆっくりで大丈夫なので、指を「ねこの手」にして、必ず大人と一緒に挑戦してください。
フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて中火にかけます。いい香りがしてきたら鶏ひき肉を加え、肉の色が変わるまで炒めます。
ここからは火を使う時間。油がはねることがあるので、フライパンに顔を近づけすぎないようにしましょう。
刻んだピーマンを種もワタもぜんぶ加えて、2分ほど炒めます。続けてナンプラー、オイスターソース、鶏ガラスープの素、砂糖(お好みで豆板醤)を入れ、味見をしながら炒め合わせます。
クイズで学んだとおり、ピーマンは肉厚なので、炒めてもビタミンCが失われにくい——だから炒め物と相性ばつぐんなんです。
火を止める直前にバジルを加え、さっと混ぜたらできあがり。ごはんにのせて、お好みで目玉焼きをトッピングします。
半熟の黄身をくずして、混ぜながら食べるのがタイ流の楽しみ方。種のプチプチした食感もぜひ味わってみてください。どこに種がいるか、探しながら食べるのも楽しいですよ。
- 種とワタまで使うと、捨てるのはヘタだけ。ゴミが減って、お財布にもやさしくなります
- 包丁と火を使う場面は、必ず大人といっしょに
- 辛さは豆板醤で調整。子ども用を取り分けてから、大人の分に足すと安心です
- 慣れてきたら、チンジャオロースや肉詰めも「種ごと」に挑戦してみてください
次回以降の連載で、みなさんからお寄せいただいた写真やコメントを紹介させていただく予定です。楽しみにお待ちしています!
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前回の「ブロッコリーの茎のナムル」に届いた、「つくってみた!」のお写真を紹介します。
キッチンの楽しさが伝わる、すてきな一枚ばかりです。
皮・種・芯・ヘタ——いつも捨てていた部分を使った、簡単で美味しいレシピが190品収録。 「これも食べられたの?」という驚きが、食育や環境への意識を楽しく育ててくれる一冊です。 子どもにも大人にも好評のレビューが集まっています。

京都在住の取材・広報ライター、作家。新しい時代の自由な学びのコミュニティ「夢つむぐ学校」代表。趣味は朝抹茶、娘とXGの推し活、息子と銭湯めぐり。
著書『しあわせな家族時間のための「親子の書く習慣」』
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