なに?
たった1人の学生が、
10億人を動かした日——。
これ、全部「今の地球」で起きていることだよ。
毎年、地球から消えている森林の面積です。下の図で、日本の国の広さと比べてみましょう——。
森が減り、土地の使い方が変わると、生き物の居場所も一緒に変わります。いま、いちばん助けが必要だと言われている動植物の数の目安です。
毎年消えている森の面積は、日本の国土の約26%(4分の1以上)に相当します。
つまり、北海道+東北地方の広さの森がまるごと消えるようなスケール——。
それが、毎年起きているのです。
そんなに広い森が、なくなっているの?
——ところで、こうした「地球のために行動する日」があるのを知っているかな?
毎年4月22日は「アースデイ(地球の日)」。 「環境にいいことをする日でしょ?」——そう思っている人も多いかもしれません。
ところが、アースデイは単なる「いいことをする記念日」ではありません。 1970年、アメリカのたった1人の大学生が「地球のために声を上げよう」と呼びかけたことから始まったムーブメント(社会を変えるうねり)なのです。
当時のアメリカでは、工場の排煙や汚染された川が大きな社会問題になっていました。 その学生の行動が火種となり、環境保護庁(EPA)の設立や、大気や水をきれいにする法律が次々と整備されるきっかけになりました。
「アースデイ、それは記念日ではなく、ムーブメント(It’s not a day, it’s a movement)」。
英語にはThink globally, act locallyという言葉があります。 これは世界のことをイメージしたうえで、自分の学校や家庭など、身近な場所から小さく行動する——そんな意味が込められています。
国際団体の発表では、各地のイベントや情報発信などに関わる人の数は世界で10億人にものぼるそうです。
始まりは「1人の声」
環境汚染に危機感を持った大学生が、仲間を集めて声をあげました。小さな火種が、やがて国をまたいで広がっていったのです。
そのあと、法律まで変わった
アースデイをきっかけに、アメリカでは環境保護庁(EPA)が設立され、大気や水をきれいにする法律がつくられました。たった1日のうねりが、社会の仕組みを変える入口になったのです。
記念日じゃない、ムーブメントだ
アースデイは、1年に1度のイベントだけではありません。「地球のために考え、行動し続ける」という姿勢そのものを、世界中で共有する日でもあるのです。
すごい……。でも今、地球はどうなっているの?
森が変われば、海や空気も変わり、やがて私たちの暮らしにも返ってきます。
海水の温度の変化や、大気中の温室効果ガスの量の変化は、台風の強さや夏の暑さが続く期間に大きな影響を及ぼします。遠い海で起きている変化のように思えますが、実は私たちの「明日の天気」と深くつながっているのです。
じゃあ、私たちには何ができるの?
次は、「知っている」だけでは足りない理由と、いまの学びが目指していることを見てみよう。
「CO₂がふえると、地球は暖かくなりやすい」——このことを知っている大人はたくさんいます。 でも、知識があるだけで、行動が変わったかというと、どうでしょう。
実は、世界の教育現場では長い間、この「知っている」と「できる」の間にある大きなギャップと向き合ってきたのです。
「正しい知識を学べば、人は正しく動くはずだ」——そんな前提で、以前はたくさんの情報を覚える授業が中心でした。
「海のプラスチック問題は深刻だ」と知っていても、ついレジ袋をもらってしまう。それは、私たちが「自分ひとりが頑張っても、どうせ地球は変わらない」という無力感を抱いているからです。
だからこそ、いまの学びは「知識を増やすこと」以上に、「自分には、小さくても社会を変える力がある」という実感を持つことを大切にしています。
この「自分で状況を動かしていける力」のことを、教育の世界ではエージェンシー(Agency)と呼びます。
問題が大きいほど、「自分1人ではどうにもならない」と感じることもあります。 ところが、アースデイを始めたのはたった1人の学生でした。 声は小さくても、重なれば社会の向きを変えることがある——それが、半世紀のあいだ示されてきたことなのです。
国連の教育機関(ユネスコ)は、これからの学びに3つの柱が必要だと提唱しています。下は、記事向けに短くまとめたものです。
頭で理解する学び
地球で何が起きているか、正しく知ることです。
気温が上がるしくみや、ごみがどこへ運ばれるのかを知りましょう。また、温暖化の影響が国や地域によってちがい、困っている人がいることを、地図を広げるように頭の中でイメージできるようにすることです。
心で向き合う学び
自然や他の人たちのことを、自分のこととして考えることです。
環境の問題を知って、悲しい、こわい、あるいは「なんとかしたい」と怒りを感じることもあるでしょう。その気持ちをかくさず、自分の町の人や、ニュースの向こう側にいる世界の人たちの痛みに共感する心を育てます。
自分でやってみる学び
「知っている」を「やってみた」に変えることです。
自分で調べたり、だれかと話し合ったり、アクションプラン(行動の計画)を立てて実際に動いてみたり。どんなに小さなことでもかまいません。自分で考えてアクションを起こすことが、大きな一歩になります。
環境は、「理科の単元」だけの話ではありません。 「この社会の仕組み、本当にこれでいいの?」と問い直す力——それも、学びのまんなかにあるのです。
……私にもできること、あるかな?
地球環境を回復させ、人と地球の両方にとって機能する社会をつくるには、私たち一人ひとりが役割を果たすしかありません。 大人も子どもも関係なく、日々の選択——何を買うか、どう捨てるか、誰に声をとどけるか——を意識的に変えていく。
そして、もうひとつ。 小さな一歩が、クラスや職場、地域の「次の一歩」を呼ぶ——そんな連鎖を信じてみること。 それも、アースデイが示してきたムーブメントのかたちです。
まず何から始める?
正解は1つだけではありません。思いついた言葉をそのまま話してみてください。
「今、わたしたちにできることは何だと思う?」
辞書や図書館、信頼できるサイトで、次の言葉をたどると、記事の外側の景色が広がります。
- 生物多様性いきものがいろいろいること
- フードマイル食べ物が旅した距離
- カーボンニュートラル二酸化炭素の排出と吸収のバランスをゼロに近づける考え方
- サーキュラーエコノミーものを循環させてムリを減らす経済の考え方
まずは親子で「今日からできる地球のためのアクション」をひとつ決めて、実行してみませんか?
うまくいったこと、むずかしかったこと——感想をノートに残したり、学校や友だちに話してみるのも、立派な一歩です。
たった1人の一歩が、世界を変えると信じてみませんか。
参考・出典(ウェブ)
- 国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所. 「グローバル森林資源評価(FRA 2020)」に関するニュース. https://www.fao.org/japan/news/detail/news-1300626/jp
- 環境省・ネイチャーポジティブポータル. https://www.biodic.go.jp/biodiversity/index.html
- アースデイ公式サイト. https://www.earthday.org/ja/
- 米国環境保護庁(U.S. EPA). https://www.epa.gov/
- 文部科学省(日本ユネスコ国内委員会). 持続可能な開発のための教育(ESD). https://www.mext.go.jp/unesco/004/1339957.htm
- 経済協力開発機構(OECD)東京センター. 教育関連トピック. https://www.oecd.org/japan/education/

京都在住の取材・広報ライター、作家。新しい時代の自由な学びのコミュニティ「夢つむぐ学校」代表。趣味は朝抹茶、娘とXGの推し活、息子と銭湯めぐり。
著書『しあわせな家族時間のための「親子の書く習慣」』
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